現在、国会の大きな争点となっている組織犯罪処罰法改正案(テロ等準備罪法案、共謀罪法案とも)ですが、この法案が同人等の二次創作文化に打撃を与えるのではないかという懸念の声が一部で上がっています(例えば、山田太郎前議員の公式HPの記事を参照のこと→https://taroyamada.jp/?p=9270)。2017年3月17日、丸山穂高議員はこの件に関する質問を含む質問主意書を提出。内閣は丸山議員の質問に答弁書で回答しました。

実際の質問主意書と答弁書は衆議院の公式HPに掲載されていますが、質問主意書と答弁書が別々に掲載されていると読みづらいので、質問主意書と答弁書を一つにまとめて掲載してみます。

以下、青字部分が丸山議員の質問主意書の記述、赤字部分が内閣の答弁書の記述、黒字部分が当ブログ管理人による注釈部分です。



 東京オリンピック開催を控えた我が国の現状や、近年における犯罪の国際化及び組織化の状況に鑑み、テロ等の重大犯罪を事前に取り締まり抑止していくことは極めて重要である。その一方で、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案(以下「法案」という。)が政府提出、国会審議の後に成立すると、我が国が世界に誇るアニメやコスプレ文化の基盤である二次創作や同人活動を萎縮させ、その発展を阻害するのではないか等の法案に関する様々な懸念の声も上がっている。
  そこで、以下質問する。

(丸山議員の質問)
一 法案の別表第三及び第四において著作権法並びに特許法、実用新案法、意匠法及び商標法における罪が含まれている理由について、それぞれ伺いたい。
 
八 昨年提出の環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案における著作権法改正では「原作のまま複製された複製物」(以下「海賊版」という。)といった対象の限定を行っている一方、本法案では、別表第三及び第四における著作権法の罪の対象について、海賊版に限定されていない。その理由について伺いたい。

(内閣の回答)
一及び八について
国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約第五条1(a)(i)に規定する行為を犯罪とする法整備を行うに当たり、同条1が定める義務を誠実に履行するためである。



(丸山議員の質問)
二 法案の別表第三及び第四に掲げる罪において引用元の罪が親告罪の場合は本法案においても親告罪となるのか。例えば、著作権法第百十九条第一項及び第二項の罪が含まれているが、この法案においても親告罪なのか。

(内閣の回答)
二について
お尋ねの意味するところが必ずしも明らかではないが、今国会に提出している組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案による改正後の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号。以下「改正後組織的犯罪処罰法」という。)第六条の二の罪における実行準備行為を伴う計画行為の対象である犯罪が親告罪である場合、すなわち、仮にそのままその計画に基づき、その犯罪が実行され、実際の法益侵害に至ったとしても告訴がなければ公訴を提起することができないとされている場合には、当該法益侵害を未然に防止するためにその前段階の行為を処罰の対象とする同条の罪についても、同様に親告罪となるものと考える。



(丸山議員の質問)
三 法案における「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」の「その他」はどのような集団を想定しているのか。

(内閣の回答)
三について
改正後組織的犯罪処罰法第六条の二第一項に規定する「組織的犯罪集団」としては、例示している「テロリズム集団」のほか、例えば、暴力団、薬物密売組織などを想定している。



(丸山議員の質問)
四 マンガやアニメ等を元に創作した同人誌やグッズのような二次的著作物の制作又は販売を行う団体は、この法案における組織的犯罪集団に含まれるのか。含まれない場合にはその理由も示されたい。含まれる場合にはそうした団体の内どのような要件を満たした団体が、それに当たりうるのか示されたい。

(内閣の回答)
四について
お尋ねのような団体は、改正後組織的犯罪処罰法第六条の二第一項に規定する「団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるもの」との要件を満たさない限り、同項に規定する「組織的犯罪集団」に該当しない。



(丸山議員の質問)
五 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律における「組織」(指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体をいう。)とは具体的にどのようなものを指すのか。

(内閣の回答)
五について
お尋ねについては、御指摘の「組織」という用語を用いている個別の規定に即してお答えすることが適切と考えられるところ、改正後組織的犯罪処罰法第六条の二第一項に規定する「当該行為を実行するための組織」とは、同項各号に掲げる罪に当たる行為を実行するために、指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体をいい、例えば、ハイジャックの実行部隊などがこれに当たる。



(丸山議員の質問)
六 右記の「組織」の定義における「指揮命令」とは、単にリーダーが存在するということだけでよいのか。また、サークルや法人等、団体の形態により形式的に分類できるものか。例えば、会社法に基づく株式会社については指揮命令系統があるという認識か。

(内閣の回答)
六について
お尋ねの「指揮命令」の存否については、御指摘の「リーダーが存在するということ」又は「団体の形態」のみにより画一的に定まるものではなく、改正後組織的犯罪処罰法第六条の二第一項各号に掲げる罪に当たる行為を実行するための人の結合体であるものについて、構成員相互の関係その他の当該人の結合体の実態等を踏まえ、個別具体の事例に即して判断されるべきものと考えられる。



(丸山議員の質問)
七 法案における「資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画」の「その他」はどのようなものを想定しているのか。

(内閣の回答)
七について
改正後組織的犯罪処罰法第六条の二第一項に規定する「計画をした犯罪を実行するための準備行為」としては、例示している「資金又は物品の手配」及び「関係場所の下見」のほか、例えば、犯行手順の訓練、犯行の標的の行動監視などを想定している。


以上です。衆議院の公式HPで実際の質問主意書と内閣の答弁書の内容を確認することができます。


テロ等準備罪法案における言葉の定義及び著作権法等の扱いに関する質問主意書
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a193139.htm 

衆議院議員丸山穂高君提出テロ等準備罪法案における言葉の定義及び著作権法等の扱いに関する質問に対する答弁書
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon_pdf_t.nsf/html/shitsumon/pdfT/b193139.pdf/$File/b193139.pdf



【参考リンク】
丸山穂高議員Twitter
https://twitter.com/maruyamahodaka