今回、井坂信彦議員が提出した「二次的著作物に関する質問主意書」は、去年、井坂議員が提出した同名の質問主意書を前提としています。そこでまずは、去年、井坂議員が提出した質問主意書について説明していきます。

井坂議員が去年提出した質問主意書にはこのような質問がありました。

クールジャパン戦略のねらいであるコンテンツの「関連商品販売等への波及効果」の「波及効果」には、いわゆるパロディ作品、例えばマンガやアニメを元に創作した同人誌、グッズのような二次的著作物は含まれるのか。
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a189134.htm

井坂議員の質問に対し、内閣は以下のように回答します。

お尋ねの「二次的著作物」を含む著作物については、「関連商品販売等への波及効果」が見込まれる右のコンテンツに該当し得るものと考えられる。
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b189134.htm

この内閣の答弁書は、「2次創作同人誌もクールジャパンに」として、『ITmedia ニュース』でも取り上げられました。


さて、前置きの説明はここまでです。

二次創作同人誌がクールジャパンならば、二次創作同人誌が海外に持ち出されることも、当然考えられます。二次創作同人誌が海外に持ち出される際に税関を通過する時、同人誌が「知的財産侵害疑義物品」として問題になる可能性がある。今回、井坂信彦議員が提出した質問主意書は、この懸念について内閣に問うています。

以下、井坂議員が今回提出した「二次的著作物に関する質問主意書」と、質問主意書に対する内閣の答弁書の内容を見やすい形に並び替えて掲載していきます(斜体、太字、色付け等の編集も加えています)。


二次的著作物に関する質問主意書

 平成二十七年三月十三日、当方が提出した「二次的著作物に関する質問主意書」の、「オリジナルの創作作品はクールジャパン戦略のねらいであるコンテンツの『関連商品販売等への波及効果』の『波及効果』に含まれるのか」との問いに対し、政府は「お尋ねの『二次的著作物』を含む著作物については、『関連商品販売等への波及効果』が見込まれる右のコンテンツに該当し得るものと考えられる」と答弁した。
  この政府答弁に関し、二次的著作物の著作権者の保護について懸念があるため、次の事項につき質問する。

 著作権者の許諾を得ていないと推測される二次的著作物と、著作権者の承認を得ていると推測される二次的著作物(各著作権者が提供するガイドラインに基づき創作されたもの、又は著作権者が同人マーク等を提示し、二次的著作物作成の許諾意思を明示しているもの)が市場に混在している。
  二次的著作物が、クールジャパン戦略のねらいである、コンテンツの関連商品販売等への波及効果に該当し、海外へ日本の魅力として発信されることが期待されるコンテンツであるならば、二次的著作物が国外に持ち出されることが予想される。

(ここまでが質問主意書の前置き部分)

(井坂議員の質問) 
 一 アニメ・マンガ・キャラクター等のコンテンツ産業を対象にした二次的著作物について、著作権者への創作の許諾の有無に関して、税関で知的財産侵害疑義物品として認定手続きが行われた事例はあるか。

(内閣の答弁書)
一について
 関税法(昭和二十九年法律第六十一号)第六十九条の三第一項又は第六十九条の十二第一項において、税関長は、輸出され、又は輸入されようとする貨物のうちに、著作権等を侵害する物品があると思料するときは、著作権等を侵害する物品に該当するか否かを認定するための手続(以下「認定手続」という。)を執らなければならないこととされているが、認定手続は、当該貨物が二次的著作物であるか否かに着目して行われるものではない。したがって、お尋ねの「二次的著作物について、著作権者への創作の許諾の有無に関して、税関で知的財産侵害疑義物品として認定手続きが行われた事例」の有無についてお答えすることは困難である。
 


(井坂議員の質問)
 二 ① アニメ・マンガ・キャラクター等のいわゆるコンテンツ産業の中で、著作権者の許諾を得ていないと推測される二次的著作物と、著作権者の承認を得ていると推測される二次的著作物(各著作権者が提供するガイドラインに基づき創作されたもの、又は著作権者が同人マーク等を提示し、二次的著作物作成の許諾意思を明示しているもの)について、政府は把握しているのか。

(内閣の答弁書)
二の①について
 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。


(井坂議員の質問) 
   ② 海外へ日本の魅力として発信される二次的著作物は、著作権者の承認を得ていると断定できる二次的著作物(各著作権者が提供するガイドラインに基づき創作されたもの、又は著作権者が同人マーク等を提示し、二次的著作物作成の許諾意思を明示しているもの)に限られるか。

(内閣の答弁書)
二の②について
 お尋ねの「海外へ日本の魅力として発信される二次的著作物」の趣旨が必ずしも明らかでないため、お答えすることは困難であるが、一般論としては、著作物の創作及び流通は、著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)等の法令に即して行われるべきものと考える。


(井坂議員の質問)
 三 二次的に創作された各出版物、各グッズ、各創作物に対して、税関で著作権者の許諾の有無について疑義が生じれば、その都度、その各二次的著作物に対して、著作権者に創作の許諾の有無の照会が行われるのか。個々に判断すべき事柄である為、一概には答えられないのであれば、一般論としてどのように対応するのか。
 
(内閣の答弁書)
三について
 認定手続においては、輸出され、又は輸入されようとする貨物が二次的著作物であるか否かにかかわらず、著作権者の許諾の有無について疑義が生じた場合には、著作権者及び当該貨物を輸出し、又は輸入しようとする者に対し、当該貨物が著作権を侵害する物品に該当するか否かについての証拠を提出し、及び意見を述べることを求めることになる。


二次的著作物に関する質問主意書
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a190078.htm

衆議院議員井坂信彦君提出二次的著作物に関する質問に対する答弁書
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b190078.htm



【参考リンク】
井坂信彦衆議院議員Twitter
https://twitter.com/isakanobuhiko