二次創作やオリジナルの同人誌は、政府が推し進めるクールジャパン戦略のねらいであるコンテンツの「関連商品販売等への波及効果」の「波及効果」に含まれるのか』という趣旨の質問主意書が、先日提出されました(維新の党の井坂信彦衆議院議員によるもの)。

今日、衆議院の公式HPで公開された、この質問主意書に対する内閣の答弁書によると『マンガやアニメを元に創作した同人誌、グッズのような)「二次的著作物」を含む著作物については、(政府が推し進めるクールジャパン戦略のねらいであるコンテンツの)「関連商品販売等への波及効果」が見込まれる右のコンテンツに該当し得るものと考えられる』という趣旨の答弁でした。

ようは、二次創作の同人誌もクールジャパン戦略の射程に含まれ得る事を、政府が認めたということです政府が二次創作の同人誌の価値を公式に認めた、という意味で大きな出来事だと言えます。

また、今回の政府の答弁書によって、同人文化に悪影響を与える可能性がある『TPPによる著作権侵害の非親告罪化』に対して、「二次創作の同人誌がクールジャパン戦略の射程に含まれるなら、同人文化を守るべく動いて下さい」と政府に働きかけを行う事ができる、という意味でも大きいと思います。

(2015/04/03追記:ただ、今回の政府の答弁書には『著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)等の法令等を遵守した上で』とあるので、二次創作の同人を全面的に肯定する答弁書ではないのかもしれません。それでも、答弁書に『お尋ねの「二次的著作物」を含む著作物については、「関連商品販売等への波及効果」が見込まれる右のコンテンツに該当し得るものと考えられる』と書いてあるのは事実で、少なくとも同人文化にとってプラスの一歩になったのではないかと考えています)

では、以下に実際の質問主意書と内閣の答弁書を掲載しておきます。

 
まず最初に、井坂信彦議員提出の質問主意書は以下のようなものです(太字や改行位置の調整は当ブログ管理人によるもの)。
 



提出者  井坂信彦

 二次的著作物に関する質問主意書



 平成二十七年の経済産業省資料「クールジャパン政策について」では、アニメや漫画、キャラクターのコンテンツ産業の関連商品販売等への「波及効果」をクールジャパンのねらいに位置づけている。クールジャパン政策の対象の明確性について懸念があるため、特に二次的著作物に関し次の事項につき質問する。

一 ① 知的財産推進計画二〇一一のクールジャパン戦略で、「クールジャパン発信の仕組みの構築」に「メディア芸術祭について一層の充実を図る」と記載されている。平成二十五年度に開催された第十七回文化庁メディア芸術祭にて、オリジナル作品限定の同人誌即売会の代表者が功労賞部門で表彰されたが、オリジナルの創作作品はクールジャパン戦略のねらいであるコンテンツの「関連商品販売等への波及効果」の「波及効果」に含まれるのか
 
   ② クールジャパン戦略のねらいであるコンテンツの「関連商品販売等への波及効果」の「波及効果」には、いわゆるパロディ作品、例えばマンガやアニメを元に創作した同人誌、グッズのような二次的著作物は含まれるのか
 
 二 国内の二次的著作物の市場は拡大傾向にあるが、マンガやアニメを元に創作された例えば同人誌やグッズのような二次的著作物の市場規模を政府として把握、試算はしているか。
 
 三 平成二十三年一月文化審議会著作権分科会報告書で、著作権関連施策に係る課題として著作権に係る契約の在り方、意思表示システムの構築の必要性が指摘されている。平成二十五年三月文化審議会著作権分科会法制問題小委員会のパロディワーキングチームの報告書では、いわゆるパロディについて「著作権者による明示の許諾がなくても著作物の利用の実態からみて一定の合理的な範囲で黙示の許諾を広く認めるなど、現行著作権法による解釈ないし運用により、より弾力的で柔軟な対応を図る方策を促進することが求められているものと評価することができる」と記載している。つまりは、いわゆるパロディ作品、二次的著作物に関しての著作権に係る契約の在り方、意思表示システムの構築は見送りとなったと理解するが、この理解で正しいか。

(二次的著作物に関する質問主意書 - 衆議院公式HP)



次に、質問主意書に対する内閣の答弁書は以下のようなものです(太字や改行位置の調整は当ブログ管理人によるもの)。



内閣総理大臣 安倍晋三

        衆議院議長 町村信孝 殿

衆議院議員井坂信彦君提出二次的著作物に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


 衆議院議員井坂信彦君提出二次的著作物に関する質問に対する答弁書

 一について

 御指摘の「経済産業省資料」における「関連商品販売等への波及効果」とは、各事業者において著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)等の法令等を遵守した上でコンテンツを海外展開することを通じ、海外における我が国の生活文化の特色を生かした魅力ある当該コンテンツに関連する商品の販売又は役務の提供に結びついていく効果を意味している。
 
  お尋ねの「オリジナルの創作作品」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「二次的著作物」を含む著作物については、「関連商品販売等への波及効果」が見込まれる右のコンテンツに該当し得るものと考えられる

二について

 お尋ねの「二次的著作物の市場規模」については、政府として把握していない。

三について

 文化審議会著作権分科会法制問題小委員会パロディワーキングチームが平成二十五年三月に取りまとめた「パロディワーキングチーム報告書」は、既存の著作物を何らかの形で自己の著作物において利用しているものを「パロディ」と広く捉え、これに係る権利制限規定の創設の要否について検討したものであり、御指摘の「著作権に係る契約の在り方」や「意思表示システムの構築」に係る検討を見送ることとしたものではない。

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b189134.htm
(衆議院議員井坂信彦君提出二次的著作物に関する質問に対する答弁書 - 衆議院公式HP)



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