2016年5月26日の参議院内閣委員会で、アニメ・漫画等を守るために尽力している山田太郎議員が、アニメーターの低賃金の問題を取り上げました。山田議員の質疑を文字起こししたので公開します。

文字起こしをする動画:
参議院インターネット審議中継 2016年5月26日内閣委員会
http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?ssp=26416&type=recorded
(この動画の3:02:35付近から文字起こし)


以下、文字起こし。


山田太郎議員
「まず最初にですね、ちょっと順番変わりまして、クールジャパン、アニメ産業というところで、少し質疑に入って行きたいと思います。クールジャパン自身はですね、安倍政権の目玉でもありますし、今回の国家戦略特区の中でもですね、インバウンドということで外国人を取り入れてくと、こういう事が語られてるんですが」
 

国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案の概要
(注:内閣府地方創生推進事務局 「国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案の概要」のスクショに赤線による編集を加えたものを掲載しておきます。赤枠で強調した所が、山田議員が言及している部分です)


山田太郎議員
「ただですね、今回の入口になった背景は何かというと、これ新潟の経済同友会さんがですね、タイ人の男性が、専門学校を出たんだけれども、アシスタントとしてある漫画家さんから内定を貰ったんだけど、実は在留許可が出なかったと。これを巡ってですね、なんとかできないだろうか、まあこういうことでたぶん話がスタートしたんだというふうに思っております。

じゃあ、ホントに今回の戦略特区の考え方が、それに即して、何かこういった問題を解決し、かつ、クールジャパンあるいは外国の人達にもですね、より、このマンガ・アニメがですね、促進するという所に資するのかという所は、実は細かく見てるとですね、どうもちょっと道筋がどっかで違ってきちゃってるんではないかなということで、取り上げたいとひとつ思っております。

で、資料をお配りしてますので、ひとつ見ていただきたいんですが、アニメーション制作の実態ということで、職種平均の年収が、動画111万円、第二原画では112万円というのは非常に低いということを、前回ちょろっとお話しました」

年収
 (注:この画像は、2016年5月25日に放送された山田太郎議員のニコ生のスクリーンショットです。今回の質疑と同じ内容を解説した回だったので、画像を転用させていただきました)

山田太郎議員
「ただ、一方、もうちょっと細かく見てくとですね、なんと、契約書取り交わしはですね、『全く取り交わしてない』が42%、『時々取り交わしてる』が21%。就業状態は、円グラフを見ていただくと、自営業、フリーランスで半分以上と。まあ、こういう実態になってるんですね。ただし、どこで働いてるかというと、制作会社で90%が働いてると。まあ、こういうわけなんです。 

でも、なんで辞めないかというと、まさにですね、私自身もマンガ・アニメ・ゲームを、特に『表現の自由』というところから守っていかなきゃいけない、ということをずっとやってきたんですが、やっぱり好きな人は好きなんですね。『仕事が楽しいから』が65%ということで、やっぱりこういう状況下でも辞めないというのは続いてるわけであります。

一番収入がですね、アニメ業界で高いと言われている監督さんも、649万円と。これ、さしてですねいろんな職種から比べた時に、高いとは決して言えないというふうに思うわけであります」


アニメーション制作者実態調査報告書2015


山田太郎議員
「一方でこう見てみると、これは最賃(最低賃金)も割ってるんじゃないかというようなことで、法的に問題がないかということで、今回随分いろいろ調べさせていただきました

ちょっと次の資料を見ていただきたいんですが、実は、雇用形態としては今回、請負のフリーランス、並びに個人事業主という形で受けてるということなので、実は下請法というのがひとつ考えられるんですね。

ただ、下請法はその元請けというかですね、発注する側が、資本金が1000万円超の会社が出した場合に請けた側が下請けとして認識されるわけでありまして。実は、出してる、今回の制作会社がですね、みんな小ちゃいところらしいと。実は、この調査がなかなか進んでないという事も言われているんですが。

そうなってくるとですね、実は、いくら給料が安かろうと、労働基準上問題であったとしても、まず、雇用契約としての社員ではない。だから、(保護対象から)外れてしまう。一方で、下請法として守られてるかというと、保護されてないと。こういう所にスポンと入り込んでると」


法律の抜け穴か?


山田太郎議員
「これが全体でですね、法律の、まあ抜け穴というかですね、わざわざ抜け穴を作ったから、とは思いませんけれども、抜けてる部分なんじゃないかなというふうに思ってるわけであります。

で、そこでですね、この辺はまず、厚労省さんからお伺いしたいと思いますけれども、実際にはですね、制作会社に机を並べていて、かつ、元請けからですね、都度指示を受けながら作業をしてる状況は、もしかしたら偽装請負という可能性もあるわけであります。あるいは、見做しとしては、雇ってるのと同じ状況ではないかということも考えられるわけであります。

で、レクの中でもですね、もちろん『個別判断になる』との前提はありましたが、『偽装請負の可能性は無くはない』と、まあいうような話もいろいろあったんでありますが、労働法制を司るですね、厚労省さんの立場としては、この辺をですね、今後調査してみたりとか研究したりとか、または、請負上にも問題があるんではないかというような、懸念を持っているかどうか。この辺り、ご答弁いただけないでしょうか


渡嘉敷厚生労働副大臣
「お答えさせていただきます。アニメ業界を含め、多くの働くかたのですね、法定労働条件の履行確保を図ることはとても大切であると、このように考えております。労働基準監督機関におきましては、労働基準法や最低賃金の違反が疑われる事業者に対しては、監督指導を実施させていただいておりまして、違法な長時間労働や適切な賃金が支払われていないなどの違法があった場合は、それを是正を指導させていただいております。

特に昨今はですね、長時間労働は、これを削減していこうというのは喫緊の課題でありまして、月に100時間超えの残業を把握した時点で、全ての事業者に対する指導監督を行わさせていただいておりまして、本年度からはその対象をさらに月80時間超に拡大するなどですね、法定制度の執行強化に取り組んでおります。

ということで、これもアニメ業界含めですね、働く方々が安心していただけるように配慮していきたいと、このように考えております。

で、ご指摘のアニメーターの方について、まあフリーランスで契約してる場合なんですけれども。これもですね、実は雇用形態はいろいろあるようでございまして、使用者の指導監督下にあるか否か、報酬が労働の対価と言えるか否かによって、実態に即してですね、それが対価と言えるかどうなのかと、個別に判断していかなくてはいけないということで、その結果、もし労働者として認められるのであれば、労働基準法等が適用されると。こういうことになります。

その上で、労働者と認められた方におきましては、労働基準法や最低賃金法に定める労働条件を下回ってる場合は、その是正を指導していくということで。ケースバイケースでですね、なかなかその都度その都度判断していかないと、なかなか対応できないということであります。

まあ、アニメ業界以外にもですね、色々な問題を抱えて、構造的に長時間労働になったり低賃金になっているような業種もたくさんございますので、それぞれですね、しっかりと労働者の働きやすい環境を確保していくことをこれからも心がけていきたいと、このように考えております」


山田太郎議員
「ありがとうございます。まあ、好きこそなんとか、というのにある意味で、まあ付けこんでると、言われかねないような状況だというふうに思っております。産業を発展させるためにはですね、政府としてもこの、マンガアニメ業界をですね、育成してこうという事は方針としてあるようですから、ぜひこのあたりにですね、少しメスというかですね、まず実態の調査をですね、しっかり、特に厚労省さん等にはやっていただきたいと思います。

経産省さんにも合わせてですね、これを育成する立場にあると思いますが、例えばですね、経産省側からの申し入れとして、このですね、ようはフリーランスで個人事業主1000万以下だから法律に引っかからないという状況をなんとかしなきゃいけないんじゃないかというような問題提起、一方であってもいいのかなと。

実はこれはですね、もしかしたらアニメ業界だけじゃない問題。いろいろ、いわゆる丁稚と言われるようなですね、ところがまだまだ残っているような産業にはあるんではないかな。中企庁(中小企業庁)さんも含めて課題だと思いますので、ぜひ経産省さんからもですね、ご答弁していただきたいんですが、いかがですか?


星野経済産業大臣政務官
「お答えを申し上げます。アニメーションの制作は、中小の制作会社や個人のアニメーターを含めた、多くの事業者によって支えられておりまして、親事業者と下請事業者の間の取引の適正化が重要だと認識をしております。

このような状況を踏まえまして、経済産業省では平成25年4月にアニメーション作成業界における下請けガイドラインを策定をいたしまして、その普及啓発を行ってきているところでございます。例えば、短納期発注における単価協議の必要性や、書面で交付すべき業務内容など事例を挙げて説明をしている所でございます。

また、アニメ産業全体の市場成長や、生産性向上も重要な課題だと認識をしておりまして。経済産業省では、アニメ等の国際見本市の開催による国際展開やデジタル技術の活用による生産性向上促進等の振興策にも取り組んでいるところでございます。

アニメ産業を支えるアニメーターの就労環境の向上にもつながるよう、今後ともしっかりとアニメ産業の振興に努めてまいりたいと、このように考えております


山田太郎議員
「もう一つですね、次のページの資料を見ていただきたいんですが、これ若手のですね、専門学校卒の平均年収の実態という事も調べさせていただきました。これ、文化庁さんの資料から取ってますが、まあ年間平均106万円だということでありまして。ますます動画の平均よりも低いという事なわけであります」

現在のアニメーターの収入を巡る数字



山田太郎議員
「これも明らかにですね、どう計算しても最賃、最低賃金を割ってるんではないかと。東京都のですね、いわゆる時給の最賃が今、907円ということでありますから、実態286万円を年収で割ってしまうとですね、もうこれは最賃以下ということになるわけなんですね。

で、実はこれを見てみると、ちょっと今回のですね、経済特区のデザインでおかしな話が出てきます。これは何かといいますと、外国人の人をですね、学校に呼んでインバウンドで育てようというふうに言っても、実際これではですね、外国人の人が、じゃあこのアニメーターの仕事に就いた時にですね、まずこの専門学校を出た平均では、最賃を割ってしまう

で、実は外国人の方々がですね、勤めた先でどれぐらい年収を貰ってるのかということで、上位5位等をですね、いろいろ試算でいただいたんですが、全部最賃以下だったと。こういうような状況下もある中で、こうなってくるとですね、そもそもこの経済特区は何のために作ったのかと。つまり在留許可は結局下りないんですね。

在留許可が下りるための条件としては、これ、今日は法務省さんにも来ていただいてると思いますので、最賃についても、あまりいろんなものにキチンと書かれてるわけじゃないので、実は在留許可に関しては、『単純労働はダメだよ』っていう論点と、もう一つはですね、『日本人の領域における最低賃金等を割るような状況ではダメだよ』っていうのはあると思いますが、まずこのあたり、法務省、確認したいんですがいかがですか?


法務大臣官房佐々木審議官
「ご説明申し上げます。アニメーターとしての活動が該当しえる在留資格として、技術・人文知識・国際業務が考えられます。この在留資格は一般的にはフルタイムで就労することを前提としている在留資格ですが、その業務内容が専門的な知識や技術を要する業務に該当し、更に法務省令に定める学歴要件、あるいは報酬要件を満たしていると判断された場合に認められるものでございます。

今の、委員ご指摘の『年収約106万円』という例でございますけれども、フルタイムで稼働してこの金額の場合には、最低賃金すら満たしてないと考えられることから、たとえ他の要件を満たしているとしても、法務省令に定める、今ご指摘の『日本人と同等額以上』という報酬要件に適合するとは認められず、一般的にはこの在留資格が許可されないこと、ご指摘の通りでございます


山田太郎議員
これはもう石破大臣(国家戦略特別区域担当)にお伺いしなきゃいけないと思うんですけども、このあたりが、デザインというか想いとしてはすごく良いんだけれども、現実的には適用ができないというんですかね。一切これでは、せっかく戦略特区としてですね、目玉で1つ箱を作っていただいて、アニメ振興、マンガ振興という事を作っていただいても、まあツメが甘いというふうに言っちゃうとすごい怒られるかもしれないんですけれども、別の論点も含めて大きく、しっかり実態を考えていかないと、なかなかですね、1件も適用できない可能性が出てきてるという実態。このあたりをですね、ちょっと大臣のほうからもご答弁をいただきたいんですけど、いかがですか?


石破内閣府特命担当大臣 (国家戦略特別区域担当)
「大変いろんなご指摘をいただきありがとうございました。まず実態をきちんと認識をしなければいけないと思っております。今、渡嘉敷副大臣から答弁がありましたように、私ども政府としてまず実態をきちんと把握をして、クールジャパンの人材、せっかくですねいろんなスキルを身に付けて希望に満ちて働こうと思ったらダメですよ、というふうに言われる。その基準があまり明確ではないねという事も決してよろしいことではございません。そういうような人材がきちんと登用できますように、法務省あるいは厚労省、経産省と私ども協力してやってまいりたいと思っております


山田太郎議員
「ぜひ、クールジャパンや外国人受け入れというのは私はできればやっていただきたいと思うんですが、ちょっとこれをキッカケにですね、この産業育成の在り方。どうなのかという事も、地域とはまた別にですね、こういう問題が隠れている。これは他の産業にもあることかもしれません。このあたり総合的に考えてく必要があるのではないかということで、ご提起させていただきました」



文字起こしは以上です。表現の自由という観点から、アニメ・漫画・ゲーム等を規制から守るために尽力してきてくれた山田太郎議員が、今回はアニメ産業を守る観点に立って質問を行った形です。アニメ・漫画等を守ることについて数々の実績がある山田太郎議員ですが、今回の質疑の冒頭で「私も再選がないと、これが最後(の質疑)になっちゃうといけませんので、頑張ってやりたいというふうに思っておりますけれども」と発言するなど、夏の選挙について相当な危機感を感じている様子でした…。山田太郎議員を応援したいという方は、山田議員が党首を務める『表現の自由を守る党』への支援をよろしくお願いします。

【参考リンク】
 
参議院議員・山田太郎 ニコニコチャンネル

山田太郎議員ツイッター

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